成分分析ブランディング

成分分析ブランディング生産者のストーリー 椎茸祭編

椎茸

菌床栽培に押され減少しつつある原木栽培の椎茸


椎茸祭
椎茸祭
椎茸祭
椎茸祭

原木椎茸の生産農家数は、2005年の40,225戸に対して2017年度では16.622戸、また、原木椎茸の生産量は、2005年の18824.5トンに対して2017年では5913.5トンであり、この13年間で生産農家数、生産量ともに約1/3に減少しています(令和元年度 農林水産省 特用林産物生産統計調査より引用)

そんな中、厳選した椎茸を軸にしたビジネスを手がける「椎茸祭」は、人工的に育てられる菌床椎茸ではなく、山の栄養をたっぷりと吸収しながら育つ原木椎茸の力強い存在感に着目し、その濃厚な旨味を手軽に楽しめる濃縮タイプの液体だしを開発。日本の伝統食である干し椎茸の旨味がもつ、人々の心をほっと緩める癒し効果や多様な食文化に対応できる汎用性など、現代に合った新たな可能性を開拓し、その魅力を発信しています。


山を食べながら時間をかけて成長する原木椎茸は格別の味わい

「椎茸祭」で使われている椎茸は、高知県四万十町で無農薬の伝統農法によってつくられたもの。代表の竹村さんが全国中の椎茸を食べ比べ、ようやく見つけ出した逸品です。

おいしさの秘密は、栽培方法と菌の種類。椎茸は大きく分けて、人工的に育てられる菌床椎茸と、山の自然環境のままで栽培される原木椎茸の2種類あり、現在多くが菌床で栽培されていますが、「椎茸祭」の椎茸はすべて原木栽培されたもの。「菌床椎茸が3〜6ヵ月のサイクルで収穫できるのに対して、原木椎茸はなんと2年〜2年半もかかります。

さらに、菌床椎茸は人工的に栄養を与えて栽培されますが、原木椎茸の栄養は山に生えている広葉樹。つまり山の栄養で育った木から育つので、原木椎茸の栄養は”山”そのものといえるんです。山の中でゆっくりと時間をかけて育った椎茸は、風味と香りの豊かさがはまったく違います」と竹村さん。

また、椎茸にもトマトやイチゴのように種類があり、菌種によってその味わいは変わります。全国には現状数百種の椎茸の菌種があるといわれていますが、「椎茸祭」が選んだのは240という菌種。この菌種は、甘みがありすっきりとした優しい味わいが特徴です。また椎茸臭さが控えめなので、椎茸が苦手な人も食べやすいのだそう。


「椎茸祭」の原木椎茸の旨味は一般流通の原木椎茸の約150倍

そんな選び抜かれた「椎茸祭」の原木椎茸を成分分析へ。
今回は「旨味」にフォーカスして分析します。一般的に旨味のもととなる成分は、「グルタミン酸」、「イノシン酸」、「グアニル酸」の3種類。グルタミン酸は昆布や野菜に、またイノシン酸は肉や魚などに広く含まれるのに対して、グアニル酸は主に乾燥したきのこに多く含まれます。きのこの中でも干し椎茸は特にグアニル酸の含有量が多いことで知られています。

比較したのは、下記の3パターン。
①「椎茸祭」の原木椎茸と、国産メーカーA社の原木椎茸
②「椎茸祭」の椎茸だし「oh!dashi」と、国産だしメーカーB社の椎茸だし
③「椎茸祭」の椎茸だし「oh!dashi」と、国産メーカーA社の原木椎茸

①について、グルタミン酸の含有量を比較すると、「椎茸祭」の原木椎茸は989.71mg/100gであり、国産メーカーA社の原木椎茸の46.35mg/100gと比較すると21.35倍。またグアニル酸の含有量は、「椎茸祭」の原木椎茸が31.03mg/100gで、国産メーカーA社の原木椎茸の0.21mg/100gと比較して149.09倍多いという驚愕の数値を叩き出しました。

②では、旨味成分であるグルタミン酸含有量について、「oh!dashi」は505.01mg/100gであり、だしメーカーB社の椎茸だしの15.51mg/100gと比較して、32.56倍多いことが分かりました。

また、グアニル酸含有量について、「oh!dashi」は1045.90mg/100gであり、だしメーカーB社の178.47mg/100gと比較して、5.86倍とこちらも差があることが分かりました。
さらに③については、国産メーカーA社の原木椎茸と比べ、「oh!dashi」のグルタミン酸含有量は10.9倍、そしてグアニル酸にいたってはなんと5025.61倍。「oh!dashi」にいかに旨味が凝縮されているのかが分かる結果となりました。


椎茸だしを手軽に取り入れられる商品ラインナップ

椎茸祭
椎茸祭

成分分析にも用いられた「oh!dashi 椎茸」は、「椎茸祭」が椎茸と昆布のおいしさを最大限に引き出すべく生み出した無添加合わせだしです。濃縮タイプの液体だしが個包装になっており、カップに入れてお湯を注げば簡単に「飲むおだし」のできあがり。味噌汁やスープの代わりとしてはもちろん、デスクワーク中のコーヒーやお茶の代わりとしていただくのもおすすめです。ノンカフェインなので胃が荒れることもなく、忙しい仕事の合間にほっとひと息つきたい時に最適です。もちろん、従来の即席だしのように、茶碗蒸しや炊き込みごはんなどの料理に使っても味わい深く仕上がります。

このほかにも、発酵させたトマトの旨味からつくられた「oh!dashi トマト」や、麺つゆ代わりに使える液体だしの「おいしい椎茸だし」などを展開するほか、240菌種と合わせて、ブランド椎茸によく用いられる115や、ニンニクのような香りが個性的な193など、異なる菌種を食べ比べられる干し椎茸のセットも好評です。

成分分析で叩き出した数値を武器に、さらなる進展を目論む「椎茸祭」。異業種とのコラボやイベント参加などを通して国内外問わず着実に椎茸ファンを増やしている、彼らの今後の展開から目が離せません。